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【産科医解体新書】(84)塩分取りすぎ どう防ぐ(産経新聞)

 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)が恐ろしい病気だということは以前にも書きました。患者さんには「高血圧によって全身の血管がボロボロになってしまう」と説明しますが、なかなか実感がわかないようです。

 身体中がむくみ腎臓の血管がやられれば腎不全に、頭の血管が損傷すればけいれんを起こすこともあります。重症になると取り返しがつきません。高血圧の要因である塩分を取りすぎないよう、僕らは患者さんに口を酸っぱくして注意します。少しでも兆候のある人には「塩や醤油(しょうゆ)は使わないでください」と具体的に指示を出し、一週間後の外来で症状が悪くなっていないか確認します。

 症状が悪くなっていれば入院していただきます。場合によっては、たとえ早産でもその場で赤ちゃんを出さなくてはなりません。早産の場合には子宮口が閉じていることが多いので、たいていは帝王切開での分娩(ぶんべん)になってしまいます。

 塩分制限の食事を指示しても、約束を守ってくれない方や、甘く考えている方、あるいは「言われた通りにやっている」と言い張る患者さんもいます。でも、どれだけ塩分を取ったかは客観的なデータとなって示されますので、ごまかしはききません。

 「本当に塩も醤油も使いませんでした」と主張する患者さんを「いや、うそをついていると思っているわけじゃないんですよ。でも、このデータを見ると絶対どこかで塩分を取っているんだが…」と、ドラマの刑事さんのように患者さんを追及することもあります。患者さんの話をよく聞くと、確かに塩も醤油も使っていないのですが、めんつゆを使って調理していることが判明しました。

 栄養士さんが具体的に「塩や醤油は使わないように」と指導していたのですが、「塩と醤油さえ使わなければよい」と考えたようです。めんつゆはだしが入っているのでうまく使えば減塩になるのですが、指導の難しさを実感しました。(産科医・ブロガー 田村正明)

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